技術士第一次試験の専門科目(機械部門)は毎年35問出題されます。このページでは令和5年度に出題された35問全問を、材料力学・機械力学制御・熱工学・流体工学の4分野に分けて1ページにまとめて解説しています。個別の問題番号で検索して来られた場合は、目次または該当する見出しへ直接ジャンプしてください。答え合わせだけでなく、「なぜその式・考え方を使うのか」という道筋を重視しています。
問題と正答の出典は、公益社団法人日本技術士会が公表している令和5年度技術士第一次試験の試験問題・正答です。解答の道筋と解説は筆者が独自に作成しました。専門科目は35問の中から25問を選んで解答します。
目次
材料力学
Ⅲ-1 強度設計:基準強さ・安全率・許容応力
問題の要旨:強度設計に使う用語(使用応力、基準強さ、安全率、許容応力)についての記述5つから、不適切なものを1つ選ぶ。
解説
強度設計の基本関係は「使用応力 ≦ 許容応力 = 基準強さ / 安全率」である。
- ① 使用応力は基準強さより小さくなければならない(安全率 > 1)。適切。
- ② 基準強さ(降伏点、引張強さ、疲労限度、クリープ強さなど)は材料・荷重の種類(静的/繰返し/衝撃)・温度などの使用環境で選ぶ。適切。
- ③ 安全率も、材料のばらつき、荷重の不確かさ、使用環境、破壊したときの影響などを考えて決める。適切。
- ④ $\sigma_a = \sigma_{std}/S$ なので $\sigma_a \times S = \sigma_{std}$。適切。
- ⑤ 許容応力は部材に作用させてよい最大の応力である。「最小」は誤り。不適切。
ポイント
許容応力は「上限」。$\sigma_{使用} \le \sigma_a = \sigma_{基準}/S$ の大小関係を押さえておけば、用語の言い換えにひっかからない。
[解答]⑤
Ⅲ-2 引張試験:真応力で表した引張強さ
問題の要旨:JIS 4号試験片(直径 $d_0=14.0$ mm、標点距離 $l_0=50.0$ mm)で引張試験を行った。降伏荷重52.2 kN、最大荷重72.4 kN、最大荷重時の伸び10.1 mm、破断時の伸び21.3 mm。引張強さを真応力で表した値を求める。
解説
最大荷重点までは一様に伸びるので、体積一定($A_0 l_0 = A l$)とすると、真応力は公称応力の $(1+\varepsilon)$ 倍になる。
- $A_0 = \pi\times14^2/4 = 153.9$ mm²
- 公称の引張強さ $\sigma_B = 72.4\times10^3/153.9 = 470.3$ MPa
- $\varepsilon_B = 10.1/50.0 = 0.202$
- $(\sigma_B)_t = 470.3\times1.202 = 565$ MPa → ④
降伏荷重と破断時の伸びは使わない(ダミー条件)。③の470 MPaは公称応力、⑤は破断伸びを使った誤り(470×1.426 = 671)。
ポイント
真応力 $\sigma_t=\sigma_n(1+\varepsilon_n)$ と体積一定の仮定は、くびれが始まる最大荷重点までしか使えない。そのため $\lambda_B$ を使い、$\lambda_F$ は使わない。
[解答]④
Ⅲ-3 不静定トラス:3本棒で吊った節点の変位
問題の要旨:同じ材料・同じ断面積 $A$ の3本の棒AC、DC、BCが節点Cで結合されている(ピン結合、左右対称)。ACとBCの長さは $l$ で、それぞれ鉛直棒DCと角度 $\alpha$ をなす。Cに鉛直下向きの荷重 $P$ をかけたときの、Cの鉛直変位 $\delta$ を求める。変形は微小で、角度は変形後も $\alpha$ のままとする。
解説
- 幾何:DCの長さは $l\cos\alpha$。斜め棒の伸びは鉛直変位の棒方向成分なので、$\delta^{\prime} = \delta\cos\alpha$(変形の適合条件)。
- 軸力:$N_{DC} = \dfrac{EA\delta}{l\cos\alpha}$、$N_{AC}=N_{BC}=\dfrac{EA\delta^{\prime}}{l}=\dfrac{EA\delta\cos\alpha}{l}$
- 鉛直方向のつり合い:$N_{DC} + 2N_{AC}\cos\alpha = P$
よって①。
ポイント
不静定問題は「つり合い式+変形の適合条件+フックの法則」の3点セットで解く。斜めの部材は $\delta^{\prime}=\delta\cos\alpha$ になることと、鉛直材の長さが $l\cos\alpha$ であることの2か所で $\cos\alpha$ が出てくるので、$\cos^3\alpha$ になる。
[解答]①
Ⅲ-4 単純支持はり・等分布荷重の最大曲げモーメント
問題の要旨:長さ $l$ の単純支持はり(一様断面)全長に等分布荷重 $w$ がかかるとき、最大曲げモーメントを求める。
解説
支点反力は $R=wl/2$ ずつ。位置 $x$ での曲げモーメントは
$dM/dx=0$(せん断力が0になる位置)は $x=l/2$ なので、
ポイント
覚えておく基本値:単純支持+等分布は $wl^2/8$、片持ち+等分布は $wl^2/2$、単純支持+中央集中荷重は $Pl/4$、両端固定+等分布は $wl^2/12$(端部)。
[解答]②
Ⅲ-5 長方形断面はりの降伏曲げモーメント
問題の要旨:高さ60 mm、幅20 mmの長方形断面をもつ鋼の棒の両端に、大きさが等しく向きが反対のモーメント $M$ をかけた(純曲げ)。降伏応力が $\sigma_S=250$ MPaのとき、降伏が始まる $M$ を求める。
解説
断面係数は $Z = bh^2/6 = 20\times60^2/6 = 12{,}000$ mm³。
最外縁の応力が降伏応力に達したときに降伏が始まるので、
高さ60 mmの方向に曲げる(図では高さ方向に曲がる)ので、$h=60$ を2乗する。幅と高さを取り違えると $Z=60\times20^2/6=4000$ mm³ となり、1.0 kN·mという誤答になる(選択肢にはない)。
ポイント
$Z=bh^2/6$ では、曲げる方向の寸法 $h$ を2乗する。この問題で求めるのは「降伏し始める」モーメント。全断面が塑性化する全塑性モーメントは $bh^2/4$ を使い、1.5倍の4.5 kN·mになる。
[解答]③
Ⅲ-6 伝動軸のねじり最大せん断応力
問題の要旨:直径40 mmの中実軸が、50 kWの動力を200 rpmで伝えるときの最大せん断応力を求める。
解説
トルクは
中実丸軸の最大せん断応力は
ポイント
$Z_p=\pi d^3/16$(極断面係数)。rpmから角速度への換算は $\omega=2\pi n/60$。⑤の380 MPaは $Z_p$ を $\pi d^3/32$ と取り違えたときの値で、③の95 MPaはその逆の取り違えにあたる。
[解答]④
Ⅲ-7 座屈:両端回転拘束・一端横移動自由の柱
問題の要旨:長さ $l$、曲げ剛性 $EI$ の柱。上端は水平方向の変位と回転が拘束され、鉛直方向には動ける(ここに荷重がかかる)。下端は鉛直方向の変位と回転が拘束され、水平方向には動ける。この柱の座屈荷重を求める。
解説
両端とも回転は拘束されていて、片方の端だけが横に動ける。両端の相対的な横変位が自由な「固定-ガイド(横移動自由な固定)」条件である。たわみ曲線は、両端で傾きが0の逆対称S字(余弦の半波)になり、有効座屈長さは $l_e = l$。
これは両端ピン($l_e=l$)と同じ値になる。参考:一端固定・他端自由は $l_e=2l$(④)、両端固定(横移動なし)は $l_e=0.5l$(①)。
ポイント
「横移動できる固定-固定」は $l_e = l$。固定-固定は横移動を拘束するかどうかで $0.5l$ と $l$ に分かれるので、支持条件を図でよく確認すること。
[解答]③
Ⅲ-8 薄肉円筒圧力容器:軸方向ひずみから内圧を求める
問題の要旨:内径100 mm、肉厚1 mmの薄肉円筒容器に内圧をかけ、胴の中央部の外壁で軸方向ひずみを測ると $40\times10^{-6}$ だった。$E=200$ GPa、$\nu=0.3$ のとき、内圧を求める。
解説
薄肉円筒の応力は、周方向 $\sigma_\theta=\dfrac{pd}{2t}$、軸方向 $\sigma_z=\dfrac{pd}{4t}$。
平面応力のフックの法則から、軸方向ひずみは
ポイント
軸方向ひずみには、周方向応力によるポアソン収縮が効いて $(1-2\nu)$ がかかる。ポアソン効果を無視すると0.32 MPaとなり、③(0.4)に近い値を選んでしまう。周方向ひずみなら係数は $(2-\nu)/2$ 側になる。
[解答]⑤
Ⅲ-9 組合せ応力:引張+ねじりの最大主応力
問題の要旨:中空円筒に引張荷重とねじりモーメントを同時にかけ、表面に $\sigma_x=20$ MPa、$\tau_{xy}=-15$ MPa が生じた($\sigma_y=0$)。最大主応力を求める。
解説
せん断応力の符号は2乗するので結果に影響しない。
ポイント
モールの円の中心は $\sigma_x/2$、半径は $\sqrt{(\sigma_x/2)^2+\tau^2}$。この問題では最大せん断応力は18 MPa、最小主応力は −8 MPa になる。⑤の15、④の20は、せん断応力だけ、または垂直応力だけの値。
[解答]②
Ⅲ-10 楕円孔の応力集中
問題の要旨:無限板に楕円孔があり、一軸の引張応力 $\sigma$(図で上下方向)がかかっている。$2a$ は荷重に垂直な方向(横)の径、$2b$ は荷重方向(縦)の径。孔の縁の最大応力が最も小さくなる $(2a, 2b)$ の組合せを選ぶ。
解説
荷重に垂直な半径を $a$、荷重方向の半径を $b$ とすると、Inglisの式は
$a/b$ が小さいほど(孔が荷重方向に細長いほど)集中は小さい。
- ① 10/40:$1+2\times0.25=1.5$ ← 最小
- ② 10/20:2.0
- ③ 40/40(円孔):3.0
- ④ 20/10:5.0
- ⑤ 40/10:9.0
ポイント
円孔の応力集中係数は $K_t=3$。荷重に直角な方向に長い楕円(き裂に近い形)は危険で、荷重方向に長い楕円は安全側になる。き裂先端の扱いと考え方は同じ。
[解答]①
機械力学・制御
Ⅲ-11 状態方程式の可観測性
問題の要旨:、$B=[0\ 0\ 1]^T$、$C=[-1\ 1\ 0]$ の系が不可観測になる $a$ を求める。
解説
可観測行列 $O=[C;\ CA;\ CA^2]$ を計算する。
- $C=[-1,\ 1,\ 0]$
- $CA=[0,\ -1,\ 1]$
- $CA^2=(CA)A=[2,\ 1,\ a-1]$
不可観測 ⇔ $\det O=0$ ⇔ $a=-2$。
別の見方:$a=-2$ のとき特性多項式は 。可制御正準形の伝達関数は $(s-1)/[(s-1)(s+1)(s+2)]$ となり、$s=1$ で極と零点が相殺される。
ポイント
可観測性は $\mathrm{rank}[C;CA;\cdots;CA^{n-1}]=n$、可制御性は $\mathrm{rank}[B\ AB\cdots A^{n-1}B]=n$ で判定する。可制御正準形では、$C$ が決める零点が極と相殺されると不可観測になる。
[解答]②
Ⅲ-12 定常位置偏差を0にする前置ゲイン
問題の要旨:目標値 $r$ に前置ゲイン $K$ をかけてから、フィードバック加算点(+ $Kr$、− $y$)、ゲイン8、プラント $1/(5s+2)$ の順に通る単位フィードバック系。ステップ目標値に対する定常位置偏差($r-y$)が0になる $K$ を求める。
解説
閉ループ伝達関数は
最終値の定理から、単位ステップ入力に対する定常値は $y(\infty)=8K/10=0.8K$。
偏差 $r-y=1-0.8K=0$ より $K=5/4$。
ポイント
I動作を含まない(0形)系では、ループだけでは定常偏差が残る(この場合、$K=1$ でも $y=0.8$)。前置ゲインで閉ループの直流ゲインの逆数をかければ偏差は0になるが、プラントのゲインが変わると偏差が出るので、確実な方法は積分補償である。
[解答]④
Ⅲ-13 ブロック線図の等価変換(2重フィードバック)
問題の要旨:X→加算点1(+X,−H₁帰還)→G₁→加算点2(+,−H₂帰還)→G₂→G₃→G₄→Y の系。H₁はG₂出力(G₃入力)から加算点1へ、H₂はG₃出力(G₄入力)から加算点2へ戻る。XからYへの伝達関数を求める。
解説
信号に名前を付ける。加算点1の出力を $e_1$、G₁出力を $a$、G₂出力を $b$、G₃出力を $c$ とすると
$a=G_1(X-H_1 b)$、$b=G_2(a-H_2 c)$、$c=G_3 b$、$Y=G_4 c$。
$b=G_2 a-G_2G_3H_2 b$ より $b=\dfrac{G_2}{1+G_2G_3H_2}a$。
これを $a=G_1X-G_1H_1 b$ に代入すると
$b\,(1+G_2G_3H_2)=G_2G_1X-G_1G_2H_1 b$ → $b=\dfrac{G_1G_2}{1+G_1G_2H_1+G_2G_3H_2}X$。
よって $\dfrac{Y}{X}=\dfrac{G_1G_2G_3G_4}{1+H_1G_1G_2+H_2G_2G_3}$ で⑤。
メイソンの公式でも、前向き経路 $G_1G_2G_3G_4$、ループは $-G_1G_2H_1$ と $-G_2G_3H_2$ の2つ(G₂を共有するので互いに接触)なので分母は $1+G_1G_2H_1+G_2G_3H_2$ となる。
ポイント
ループが互いに接触する(共通ブロックを持つ)ときは、分母は「1+各ループゲインの和」で積の項は出ない。各ループに含まれるブロックを図で正確に追うのが要。④は H₂ ループに G₄ を入れてしまう誤り。
[解答]⑤
Ⅲ-14 3次特性方程式の安定判別(フルビッツ)
問題の要旨:5つの特性方程式 $s^3+20s^2\pm9s+c=0$($c=200,100,0$)のうち安定なものを選ぶ。
解説
$a_0s^3+a_1s^2+a_2s+a_3=0$ の安定条件(ラウス・フルビッツ):全係数が正、かつ $a_1a_2>a_0a_3$。
- ① 係数は全正だが $20\times9=180<200$ → 不安定
- ② $-9s$ で係数に負 → 不安定
- ③ 全正、$20\times9=180>100$ → 安定
- ④ 係数に負 → 不安定
- ⑤ 定数項0 → $s=0$ の根を持つ(安定限界)→ 漸近安定ではない
ポイント
3次系は「全係数正」+「内側の積>外側の積($a_1a_2>a_0a_3$)」の暗記で即答できる。定数項0は原点に極があり不可。
[解答]③
Ⅲ-15 一様棒の慣性モーメント
問題の要旨:質量 $m$、長さ $l$ の一様な細棒について、重心Gを通る軸 $y_G$ と端点Oを通る軸 $y_O$(いずれも棒に垂直)まわりの慣性モーメントの組合せを選ぶ。
解説
線密度 $m/l$、重心から距離 $x$ の微小要素 $dx$ について
$I_G=\displaystyle\int_{-l/2}^{l/2}\frac{m}{l}x^2dx=\frac{ml^2}{12}$。
端点まわりは平行軸の定理で $I_O=I_G+m\left(\dfrac{l}{2}\right)^2=\dfrac{ml^2}{12}+\dfrac{ml^2}{4}=\dfrac{ml^2}{3}$。
よって①。
ポイント
細棒の $ml^2/12$(中心)、$ml^2/3$(端)は頻出。平行軸の定理 $I=I_G+md^2$ も合わせて覚える。
[解答]①
Ⅲ-16 静たわみと固有角振動数
問題の要旨:長さ $l$ の両端単純支持はりの中央に質量 $m$ のおもりを載せると中央の静たわみが $h$ になった。はりの質量は無視し、固有角振動数を求める。
解説
はりを中央の等価ばね $k$ とみなすと、静的つり合いから $kh=mg$ → $k=mg/h$。
固有角振動数 $\omega_n=\sqrt{k/m}=\sqrt{g/h}$。
はりの長さや曲げ剛性は $h$ にすべて織り込まれているので、答えに $l$ は現れない。
ポイント
「静たわみ $\delta$ だけ分かれば $\omega_n=\sqrt{g/\delta}$」は1自由度系の定番。現場では、機械据付け時の防振ゴムの沈み量から固有振動数の目安を出すのにも使える($f_n\approx 15.8/\sqrt{\delta[\mathrm{mm}]}$ Hz)。
[解答]③
Ⅲ-17 U字管内液柱の自由振動
問題の要旨:断面積 $A$ のU字管に密度 $\rho$、全長 $L$ の液柱が入っており、静的つり合い位置を中心に摩擦なしで振動する。その周期を求める。
解説
液面がつり合い位置から $x$ だけずれると、片側が $x$ 上がり、反対側が $x$ 下がるので、両液面の高低差は $2x$。
この差に相当する液柱の重さ $\rho A(2x)g$ が復元力として液柱全体(質量 $\rho AL$)に働く。
運動方程式:$\rho AL\ddot{x}=-2\rho Agx$ → $\ddot{x}+\dfrac{2g}{L}x=0$。
$\omega=\sqrt{2g/L}$、周期 $T=2\pi\sqrt{\dfrac{L}{2g}}$ で⑤。
ポイント
高低差は変位の「2倍」になる点がひっかけ。$\rho$、$A$ は約分されて答えに残らない。①は高低差を $x$ とした誤り。
[解答]⑤
Ⅲ-18 2自由度ばね質量系の振動数方程式
問題の要旨:天井―ばね $k$―質量 $m$―ばね $k$―質量 $m$ と直列に吊った2自由度系の、固有角振動数 $\omega$ を求める振動数方程式を選ぶ。
解説
上の質量の変位 $x_1$、下の質量の変位 $x_2$ として
$m\ddot{x}_1=-kx_1-k(x_1-x_2)$、$m\ddot{x}_2=-k(x_2-x_1)$。
$x_i=X_i\sin\omega t$ を代入すると
で②。
解は $\omega^2=\dfrac{3\mp\sqrt5}{2}\dfrac{k}{m}$($0.382k/m$、$2.618k/m$)。
ポイント
質量・剛性行列 $\det(K-\omega^2M)=0$ を立てる手順を体で覚える。重力は静的つり合い位置まわりで考えれば消える。
[解答]②
Ⅲ-19 ロープで支えた棒の力のつり合い
問題の要旨:壁にピン支持された水平な棒の先端をロープで壁上方へ吊り(ロープは水平と30°)、先端に質量 $m$ のおもりを吊る。棒の質量は無視。支点反力 $R$、ロープ張力 $T$、棒と $R$ のなす角 $\theta$ を求める。
解説
棒の質量を無視すると、棒に力が作用するのは両端だけ(ピンと先端)なので、棒は2力部材となり、ピン反力 $R$ は棒の軸方向を向く → $\theta=0°$。
(ピンまわりのモーメントで見ても、先端に $T$ と $mg$、ピンに $R$ が作用し、$R$ の鉛直成分があると先端まわりのモーメントがつり合わないため $R$ は水平。)
先端のつり合い:鉛直 $T\sin30°=mg$ → $T=2mg$、水平 $R=T\cos30°=\sqrt3\,mg$。
よって②。
ポイント
図では $R$ が斜め上に描かれていて $\theta\ne0$ と思わせるが、自重を無視した棒は2力部材なので反力は軸方向。自重があれば $\theta\neq0$ になる点に注意。
[解答]②
Ⅲ-20 減衰振動に関する正誤
問題の要旨:減衰振動に関する5つの記述から不適切なものを選ぶ。
解説
- ① 誤り。減衰比 $\zeta=c/c_c$ は1を超えうる。$\zeta>1$ は過減衰(振動せずに戻る)、$\zeta=1$ は臨界減衰。
- ② 正。減衰なしで共振させると、振幅倍率 $1/|1-(\omega/\omega_n)^2|$ が無限大に発散する。
- ③ 正。$\zeta>0$ なら自由振動は $e^{-\zeta\omega_n t}$ で減衰しゼロに収束。
- ④ 正。減衰固有角振動数 $\omega_d=\omega_n\sqrt{1-\zeta^2}<\omega_n$。
- ⑤ 正。減衰なしでは共振点で位相が0°→180°に不連続に跳ぶが、減衰があると連続的にゆるやかに変化する(減衰が大きいほどゆるやか)。
ポイント
減衰比の3区分(不足減衰 $\zeta<1$/臨界 $\zeta=1$/過減衰 $\zeta>1$)と $\omega_d=\omega_n\sqrt{1-\zeta^2}$ はセットで覚える。
[解答]①
Ⅲ-21 円柱と巻き付けたおもりのエネルギー保存
問題の要旨:水平軸まわりに回る半径 $a$、質量 $M$ の円柱に糸を巻き、自由端に質量 $m$ のおもりを吊る。糸を巻き取る向きに初期角速度 $\omega_0$ を与えたとき、止まるまでにおもりが上がる距離を求める。非保存力は無視。
解説
初期運動エネルギー:円柱(中実円柱 $I=\tfrac12Ma^2$)の回転 $\tfrac12\cdot\tfrac12Ma^2\omega_0^2$ と、おもりの並進(速度 $a\omega_0$)$\tfrac12m a^2\omega_0^2$。
これが全て位置エネルギー $mgh$ に変わるので
$h=\dfrac{(M+2m)a^2\omega_0^2}{4mg}$ で⑤。
ポイント
円柱の回転エネルギーを忘れると③($a^2\omega_0^2/2g$)、おもりの運動エネルギーを忘れると②になる。中実円柱 $I=Ma^2/2$ を使う。
[解答]⑤
Ⅲ-22 弦の横振動の波動方程式
問題の要旨:弦の横振動(波動)を表す運動方程式を5つの式から選ぶ($T$:張力、$\rho$:線密度など)。
解説
張力 $T$ の弦の微小要素 $dx$(質量 $\rho\,dx$)に働く横方向の力は、両端の張力の傾き差 $T\dfrac{\partial^2u}{\partial x^2}dx$。よって
$\rho\dfrac{\partial^2u}{\partial t^2}=T\dfrac{\partial^2u}{\partial x^2}$ → $\dfrac{\partial^2u}{\partial t^2}=\dfrac{T}{\rho}\dfrac{\partial^2u}{\partial x^2}$(波速 $c=\sqrt{T/\rho}$)で②。
- ① 1自由度ばね質量系
- ③ 棒の縦振動($c=\sqrt{E/\rho}$)
- ④ 棒(丸軸)のねじり振動($c=\sqrt{G/\rho}$)
- ⑤ はりの曲げ振動(4階微分)
ポイント
「弦=張力 $T$、縦振動=$E$、ねじり=$G$、曲げ=$EI$ の4階」の対応を覚えれば選択肢を一気に仕分けできる。
[解答]②
熱工学
Ⅲ-23 理想気体の性質(正誤)
問題の要旨:理想気体に関する5つの記述から最も不適切なものを選ぶ。
解説
- ① 正。等温ではボイルの法則 $pV=$ 一定。
- ② 正。比熱比 $\kappa=c_p/c_v$。
- ③ 正。一般(普遍)気体定数 $R_0\approx8.314$ J/(mol·K) は気体の種類によらない(気体ごとに異なるのは比気体定数 $R=R_0/M$)。
- ④ 誤り。比エンタルピー変化は $\Delta h=c_p\Delta T$(定圧比熱)。定積比熱を使うのは比内部エネルギー変化 $\Delta u=c_v\Delta T$。
- ⑤ 正。$\kappa$ は単原子≈1.67、2原子≈1.40、3原子(多原子)≈1.3程度と、原子数が増えるほど小さい。
ポイント
$\Delta u=c_v\Delta T$、$\Delta h=c_p\Delta T$ の取り違えは定番のひっかけ。「一般気体定数」と「気体定数(比気体定数)」の区別も問われやすい。
[解答]④
Ⅲ-24 定圧加熱における内部エネルギー・エンタルピー・エントロピー
問題の要旨:質量1.00 kg の理想気体を定圧で200 K→600 K に加熱。$c_v=1.71$ kJ/(kg·K)、$c_p=2.23$ kJ/(kg·K)、$\ln3\fallingdotseq1.10$。(ア)内部エネルギー変化、(イ)エンタルピー変化、(ウ)エントロピー変化、(エ)加熱量の組合せを選ぶ。
解説
$\Delta T=400$ K。
- (ア) kJ
- (イ) kJ
- (ウ) 定圧変化なので kJ/K
- (エ) 定圧変化では加熱量=エンタルピー変化:$Q=\Delta H=892$ kJ
組合せ(684, 892, 2.45, 892)は②。
ポイント
定圧なら $Q=\Delta H$、定積なら $Q=\Delta U$。1.88 kJ/K は $c_v\ln3$ を使った誤答。$c_p-c_v=0.52$ kJ/(kg·K) が比気体定数 $R$ になる点も確認に使える。
[解答]②
Ⅲ-25 ヌセルト数の相関式から熱伝達率の物性依存性を求める
問題の要旨:層流強制対流で $Nu \propto Re^{1/2}Pr^{1/3}$ が成り立つとき、対流熱伝達率 $h$ が流体の熱伝導率 $\lambda$ の何乗、粘性率 $\mu$ の何乗に比例するかを答える。
解説
各無次元数を物性値で書き下す。
- $Nu = \dfrac{hL}{\lambda}$ より $h = \dfrac{\lambda}{L}Nu$
- $Re = \dfrac{\rho U L}{\mu} \propto \mu^{-1}$
- $Pr = \dfrac{c_p\mu}{\lambda} \propto \mu\,\lambda^{-1}$
したがって
(ア)$=2/3$、(イ)$=-1/6$ で④。
ポイント
$\lambda$ は $Nu$ の定義と $Pr$ の両方に入る点、$\mu$ は $Re$ と $Pr$ の両方に入る点が引っかけ。動粘度 $\nu=\mu/\rho$ でなく粘性率 $\mu$ で問われていることに注意(ここでは $\rho$ は別の変数として扱う)。
[解答]④
Ⅲ-26 オットー/ディーゼルサイクルの構成と熱効率
問題の要旨:オットー・ディーゼルサイクルの構成過程、圧縮比・比熱比と理論熱効率の関係に関する5つの記述から適切なものを選ぶ。
解説
オットーサイクルの理論熱効率 $\eta_O = 1-\dfrac{1}{\varepsilon^{\kappa-1}}$、ディーゼルサイクルは $\eta_D = 1-\dfrac{1}{\varepsilon^{\kappa-1}}\cdot\dfrac{\sigma^\kappa-1}{\kappa(\sigma-1)}$($\sigma$:締切比、右の係数は1より大)。
- ① 誤:オットーは断熱圧縮・等積加熱・断熱膨張・等積放熱。等温過程は含まない(等温を含むのはカルノー等)。
- ② 正:ディーゼルは断熱圧縮・等圧加熱・断熱膨張・等積放熱。
- ③ 誤:同一圧縮比なら係数 $\dfrac{\sigma^\kappa-1}{\kappa(\sigma-1)}>1$ の分だけディーゼルの方が効率が低い。つまりオットーの方が大きい。
- ④ 誤:どちらも圧縮比を上げるほど効率は向上する。
- ⑤ 誤:$\kappa$ が大きいほど $\varepsilon^{\kappa-1}$ が大きく、効率は上がる。
ポイント
「同じ圧縮比ならオットー>ディーゼル」「実機ではディーゼルの方が高圧縮比にできるので効率が高い」をセットで覚える。
[解答]②
Ⅲ-27 湿り蒸気の比エントロピー
問題の要旨:300℃、乾き度 $x=0.650$ の湿り蒸気の比エントロピーを求める。飽和水 $s^{\prime}=3.255$、飽和蒸気 $s^{\prime\prime}=5.706$ kJ/(kg·K)。
解説
湿り蒸気の状態量は飽和水と飽和蒸気の質量比による内挿で求める。
最も近いのは 4.85 で⑤。
ポイント
$s=(1-x)s^{\prime}+xs^{\prime\prime}$ は比エンタルピー・比体積でも同形。乾き度は「蒸気の質量割合」なので、$x$ を $s^{\prime}$ 側に掛けるミス(→ $3.255\times0.65+5.706\times0.35$ ≈ 4.11=③)に注意。
[解答]⑤
Ⅲ-28 水中の加熱細線の熱伝達率
問題の要旨:直径 1.5 mm の金属線が 300 K の水中にあり、表面温度 350 K で定常。単位長さ当たり発熱量 150 W/m のときの熱伝達率を求める。
解説
定常なので発熱量=表面からの対流放熱。単位長さ当たりの表面積は $\pi d$。
$6.4\times10^2$ で③。
ポイント
単位長さ当たりの値は周長 $\pi d$ を掛ける(断面積 $\pi d^2/4$ と取り違えない)。mm→m の換算漏れで桁を外しやすい。
[解答]③
Ⅲ-29 二層平板の定常熱伝導と界面温度
問題の要旨:厚さ 60.0 mm のコンクリート($\lambda=1.00$ W/(m·K))に厚さ 50.0 mm の鉄板($\lambda=40.0$)が密着。コンクリート側表面 500℃、鉄板表面 20.0℃ に保たれるとき界面温度を求める。接触熱抵抗は無視。
解説
単位面積当たりの熱抵抗を直列に足す。
- コンクリート:$R_c = 0.060/1.00 = 0.0600$ m²K/W
- 鉄:$R_s = 0.050/40.0 = 0.00125$ m²K/W
熱流束 $q = \dfrac{500-20}{0.0600+0.00125} = 7837$ W/m²
界面温度 ℃ → ①。
ポイント
熱抵抗比で温度降下が配分される。鉄の抵抗はコンクリートの約1/48しかないので、温度降下のほぼ全量(約470℃)をコンクリートが受け持ち、界面は外気温に近くなる。「鉄板表面は外気に接し」とあるが、ここでは表面温度が20.0℃と読む(熱伝達率が与えられていないため)。
[解答]①
流体工学
Ⅲ-30 クエット・ポアズイユ流れ:上壁せん断応力ゼロの条件
問題の要旨:高さ $H$ の二次元平行平板間で、両壁静止・圧力勾配 $K$ のとき $u=\dfrac{K}{2\mu}(-y^2+Hy)$。圧力勾配はそのままで上板を速度 $V$ で動かしたら上板の壁面せん断応力が0になった。$V$ を求める。
解説
支配方程式は線形なので、圧力駆動流にせん断駆動のクエット流 $Vy/H$ を重ね合わせる。
上壁 $y=H$ でのせん断応力 $\tau=\mu\,du/dy$ を0とおく。
→ ①。このとき $u=\dfrac{K}{2\mu}(-y^2+2Hy)$ となり、$y=H$ で速度が最大(放物線の頂点)になる。
ポイント
「壁面せん断応力0」=「その位置で速度勾配0」=速度分布の極値。重ね合わせで解くのが最速。なお問題の $K$ は流れを $+x$ に駆動する向きを正とした定義($K=-dp/dx$)。
[解答]①
Ⅲ-31 円管の助走距離
問題の要旨:内径 0.20 m の円管に動粘度 $1.0\times10^{-6}$ m²/s の水を 0.5 m³/s で流す。層流 $L_e/d=(0.06\sim0.065)Re$、乱流 $L_e/d=20\sim40$ として助走距離を選ぶ。
解説
平均流速 $U=\dfrac{Q}{\pi d^2/4}=\dfrac{0.5}{\pi\times0.01}=15.9$ m/s
$Re=\dfrac{Ud}{\nu}=\dfrac{15.9\times0.20}{1.0\times10^{-6}}=3.2\times10^6$ → 明らかに乱流。
$L_e=(20\sim40)\,d=4.0\sim8.0$ m。選択肢でこの範囲に入るのは 6.0 m の③。
ポイント
まず $Re$ で層流/乱流を判定してから式を選ぶ。層流式をそのまま使うと $L_e\approx3.8\times10^4$ m と非現実的な値になる。乱流の助走距離は管径の数十倍で、$Re$ にあまり依存しない。
[解答]③
Ⅲ-32 縮小管のベルヌーイの定理(ベンチュリ管)
問題の要旨:半径 $r_1$ の断面1から半径 $r_2$ の断面2へ絞られる円管に、密度 $\rho$ の非圧縮・非粘性・定常流。断面1と2の圧力差 $\Delta p(>0)$ から断面2の速度 $u$ を求める。
解説
連続の式:$u_1\pi r_1^2=u\pi r_2^2 \Rightarrow u_1=u(r_2/r_1)^2$
ベルヌーイ(水平):$p_1+\tfrac12\rho u_1^2=p_2+\tfrac12\rho u^2$
→ ⑤。
- ①②:係数 1/2 が欠落。
- ③:$r_1/r_2>1$ なので根号内が負になり不適。
- ④:符号が逆で根号内が負。
ポイント
面積比なので半径比は4乗。$r_2<r_1$ より $1-(r_2/r_1)^4$ が正になる組合せを選べば消去法でも解ける。ベンチュリ流量計の基本式。
[解答]⑤
Ⅲ-33 2次元非圧縮流れの連続の式
問題の要旨:2次元非圧縮流れで $u=x^2+xy$ のとき、連続の式を満たす $v$ を選ぶ。
解説
連続の式 $\dfrac{\partial u}{\partial x}+\dfrac{\partial v}{\partial y}=0$。$\dfrac{\partial u}{\partial x}=2x+y$ なので $\dfrac{\partial v}{\partial y}=-2x-y$。
$y$ で積分すると $v=-2xy-\tfrac12y^2+f(x)$。$f(x)=0$ としたものが④。
各選択肢の $\partial v/\partial y$:
- ① $1-2x-y$ → 発散 $=1$ で不適
- ② $-y$ → 発散 $=2x$ で不適
- ③ $-x-y$ → 発散 $=x$ で不適
- ④ $-2x-y$ → 発散 $=0$ で適
- ⑤ $-1$ → 発散 $=2x+y-1$ で不適
ポイント
⑤は $\partial v/\partial y$ そのもの(積分前)を答えにしてしまうひっかけ。$f(x)$ は任意なので「必要条件を満たす式」という問い方になっている。
[解答]④
Ⅲ-34 円管内の層流・乱流
問題の要旨:なめらかな円管内の十分に発達した流れについての5つの記述から不適切なものを選ぶ。
解説
- ① 不適切:放物線分布(ハーゲン・ポアズイユ流れ)は層流の速度分布。乱流では混合により中心部が平坦化し、壁近傍で急勾配になる(1/7乗則など)。
- ② 適切:乱流では不規則な渦運動により運動量・熱・物質の混合が促進される。
- ③ 適切:なめらかな管の乱流ではブラジウスの式 $\lambda=0.3164Re^{-1/4}$ のように $Re$ の増加とともに $\lambda$ は小さくなる。
- ④ 適切:臨界レイノルズ数は約2300。
- ⑤ 適切:層流の管摩擦係数 $\lambda=64/Re$。
ポイント
「放物線=層流」「乱流=平坦な分布」。粗い管の完全乱流域では $\lambda$ は $Re$ に依存しなくなる点も併せて押さえる(ムーディ線図)。
[解答]①
Ⅲ-35 トリチェリの定理
問題の要旨:大きな容器の水面から深さ $h$ の側壁の小穴から、定常的に速度 $V$ で水が流れ出る。粘性を無視して $h$ を $V$、$g$ で表す。
解説
水面(大容器なので速度≈0、大気圧)と穴の出口(大気圧、速度 $V$)の間でベルヌーイの式を立てる。
→ ④。
ポイント
密度 $\rho$ は答えに現れない(与えられていても使わない)。実際の流出速度は縮流・損失のため速度係数 $C_v\approx0.97$ 程度を掛ける。
[解答]④
ほかの年度の専門科目(機械部門) 全35問解説
- 令和6年度 技術士第一次試験 専門科目(機械) 全35問解説
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- 令和2年度 技術士第一次試験 専門科目(機械) 全35問解説
- 平成26年度 技術士第一次試験 専門科目(機械) 全35問解説
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