ピエゾアクチュエータにはどのような種類がありますか?
ピエゾアクチュエータにはいくつかの主要なタイプがあります。それらは以下の通りです:
スタックアクチュエータ: これらは複数のピエゾセラミック層を積層して作られます。電圧が適用されると、各層が膨張し、アクチュエータが縦方向に動きます。非常に高い力と高い精度を持っているため、微細位置決めに適しています。
チューブアクチュエータ: これらは円筒形のピエゾセラミックから成り、内部や外部に電極が配置されています。電圧がかかるとチューブが伸びたり縮んだりします。主に円形または放射状の動きを必要とするアプリケーションに使われます。
ベンドアクチュエータ: これらは屈曲または曲げる動作を生成します。一般に、薄いピエゾセラミック層がフレキシブルな基板に取り付けられており、電圧が適用されると曲がります。軽量でコンパクトなため、限られたスペースでの使用に適しています。
シアーアクチュエータ: これらは剪断(シアー)運動を生成します。電圧が適用されると、セラミック層が水平方向に変位します。これらは高速応答性と高精度を持っているため、精密な制御が必要なアプリケーションに用いられます。
これらのアクチュエータは、それぞれ異なる動作特性と用途を持っており、使用するアプリケーションによって選ばれます。高精度な位置決め、高速応答、低消費電力などの特性を持つため、医療機器、精密工学、航空宇宙技術などの分野で広く使用されています。
取り扱い注意事項
ピエゾアクチュエータは、構造的に丈夫な設計をしています。
しかしながら素材がセラミックでできているため非常にもろく、取り付けには注意してください。
積層型ピエゾアクチュエータは、軸方向にのみ応力を加えることができます。
偏った力や剪断(せんだん)応力、張力が加わらないよう配慮が必要です。
先端にタップがあるモデルは、ピエゾ本体に回転モーメントがかからないよう配慮が必要です。
積層型ピエゾアクチュエータは、何枚もの層でできています。この層が剥がれる恐れがあります。
2つの向い合った平行平面の間に取り付ける場合、アクチュエータが各々の面にたいして垂直になるように設置してください。
2つの面が平行でない場合は、アクチュエータの一端にボールが付いたオプションを使用して下さい。
予備荷重の機能を持ったアクチュエータなら、張力・取り付け状態に僅かな狂いにも対応します。
Depolarization and Over Voltage
(消極・過電圧) 消極(減極)は、この分極特性を消滅することで、絶対に避けなければなりません。通常の使い方では、素子の伸張能力は何年間使用しても変わりません。特殊な用途で、極性と逆の方向に電圧をかけることがありますが、逆方向電圧は定格電圧の20%を超えてはなりません。もし逆過電圧をかけると、不可逆な消極を引き起こし、もはやアクチュエータとしての機能がなくなります。また、過電圧はしばしばセラミック内に絶縁破壊を起こし、素子が使用できなくなります。
予備荷重 (Prestress)
しかし張力に対しては、何層にも貼り合わされた構造上極端に弱く大きくありません。そのため多くのモデルでは、より大きな張力に耐えられるように予備荷重がかけられています。常にセラミックスに大きな張力がかかるような使用法に対しては、予備荷重の付いた素子を用いることが望ましいことです。
負荷はアクチュエータの荷重面全体に均一にかかるよう配慮して下さい。
アクチュエータに半円形のスフィアトッポを付けると過重の偏りが防げます。
セラミック本体に接する材料は、電極間のショートを避けるため非導電物質を使うことをお勧めします。
基盤とアクチュエータの間に絶縁幕またはセラミック板を挿入することで絶縁できます。
圧電アクチュエータの応用
高特性圧電材料NEPECとはなんですか?
「NEPEC」とは、「New Piezoelectric Ceramics」の略で、新しいタイプの圧電セラミック材料を指します。この材料は、特にその優れた圧電特性により注目されています。以下はNEPECの主な特徴です:
高い圧電定数: NEPECは通常の圧電セラミック材料よりも高い圧電定数を持っています。これにより、より小さな電圧で大きな変形や力を生み出すことができます。
温度特性の改善: この材料は温度変化に対してより安定した性能を示すため、温度が変わる環境でも一貫した性能を発揮します。
長期安定性: NEPECは時間の経過による性能の劣化が少ないため、長期間にわたって安定した性能を維持します。
高い耐久性: この材料は物理的なストレスや電気的な負荷に対しても耐久性が高いです。
NEPECは、その高性能な特性から、精密工学、医療機器、航空宇宙技術、自動車産業など、さまざまな先進的なアプリケーションにおいて重要な役割を果たすことが期待されています。これにより、より効率的で、精度の高い、そして信頼性の高いシステムの開発が可能になります。
ベローズ構造とはなんですか?
ベローズ構造は、一連の連続した折り目または曲がりを持つ柔軟な管状の構造です。これらの特徴により、ベローズは拡張、圧縮、曲げ、またはねじれることができ、さまざまな用途で使用されます。主な特徴と用途について説明します。
特徴
柔軟性: ベローズは、その構造により、長さ方向の伸縮や曲げなどの動きを可能にします。
耐久性: 多くのベローズは金属や高強度のプラスチックで作られ、長期間にわたる使用に耐えるよう設計されています。
密閉性: ベローズはしばしば、内部の流体やガスが外部に漏れ出さないように密閉されています。
振動吸収: 柔軟性のある構造は、機械的な振動や衝撃を吸収するのに有用です。
用途
補償装置: パイプラインやダクトシステムで温度変化による伸縮を補償するために使用されます。
振動吸収: 機械やエンジンの振動を減らすために使用されます。
流体輸送: 特定の種類のベローズは、液体やガスを運ぶために使用されます。
保護カバー: 機械部品を保護するために使用され、ほこりやその他の汚染物質から保護します。
ベローズは、その多用途性と機能性のため、工業、自動車、航空宇宙、医療機器など多くの分野で広く使用されています。
https://jpn.nec.com/techrep/journal/g06/n05/pdf/t060519.pdf
Piezo actuatorとは
ピエゾアクチュエーターに関するKeystone Internationalのウェブページは、ピエゾアクチュエーターの特徴、原理、構造、利点、欠点、および動作モードに関する詳細な情報を提供しています。
ピエゾアクチュエータの基本: ピエゾアクチュエータはピエゾ圧電効果を利用した位置決め素子で、ナノメーターから数百ミクロンの範囲での精密な位置決めが可能です。セラミック素材でできており、硬く、大きな力を生み出し、コンパクトで省エネルギーです。
ピエゾ圧電効果: ピエゾ圧電効果は、結晶に機械的圧力を加えると電荷が発生する現象で、逆圧電効果をピエゾアクチュエータに利用しています。この効果は、マイクロホン、圧力センサー、加速度センサー、電子ガスライターなどに使用されています。
ピエゾアクチュエータの特徴: 無限の分解能、高いエネルギー効率、大きな耐荷重、速い応答性、磨耗や劣化のない長寿命設計、磁場がないことなどが特徴です。
ピエゾアクチュエータの欠点: 発熱、温度特性の変動、熱膨張、圧電効果の温度依存性、真空中での使用時の注意点などが挙げられます。
一般的な特性と動作モード: ストローク、発生力、剛性、共振周波数、最大駆動電圧などが説明されており、d33モードとd31モードの違い、低電圧と高電圧のアクチュエーターの区別がされています。
アクチュエータの種類: スタック構造、予備荷重構造のケーシングアクチュエーター、リングアクチュエーター(空洞スタック)などが紹介されています。
この情報は、ピエゾアクチュエーターの選択、設計、および適用に関して重要な知識を提供します。
スタックしたデバイスを共振周波数で使用するとスタック面が破壊する恐れがある
「スタックしたデバイスを共振周波数で使用するとスタック面が破壊する恐れがあり」というのは、ピエゾアクチュエーターのスタック構造が共振周波数で動作させられると、振動によって内部の層が損傷を受けたり、破壊されるリスクがあることを意味しています。共振周波数とは、システムが自然に振動する特定の周波数で、この周波数で動作させると振動が増幅され、物理的な損傷を引き起こす可能性があります。そのため、通常は共振周波数よりも低い周波数でピエゾアクチュエーターを使用することが推奨されます。
Creeping(クリーピング)
ピエゾアクチュエータの印加電圧を新たな値に設定すると、一旦ある値に落ち着いた後、緩やかな伸びが観測されます。この余分な伸びはヒステリシスの振舞と密接な関係があり、セラミックスの分極が続いていることにより生じます。この現象をクリーピング現象と呼びます。クリーピング現象はとても小さく、指数関数的に減少します。
d33モードとd31モード
d33モードとd31モードは、ピエゾ素子が応答する圧電効果の2つの主要なモードを指します。
d33モード: このモードでは、ピエゾ素子に電圧が印加されると、電圧の方向(分極方向)に沿って素子が伸びます。d33モードは、素子の長さ方向の変化に関連し、一般に伸長率が高いため、多くのアクチュエータにおいて好まれます。
d31モード: このモードでは、ピエゾ素子に電圧が印加されると、電圧の方向に直角に素子が伸縮します。d31モードは、素子の幅または厚み方向の変化に関連し、縦方向よりも横方向の変化を利用するアプリケーションに適しています。
これらのモードは、素子の設計や用途に応じて選択され、それぞれ特定の性能特性を提供します。d33モードは一般的に直線的な伸長に利用され、d31モードは曲げや側方への動きに適しています。
ドライブ電圧と極性
Keystone Internationalのウェブページでは、ピエゾアクチュエーターのさまざまな側面について詳細が提供されています:
ドライブ電圧と極性: ピエゾアクチュエーターは、低電圧 (-30V ~ +150V) と高電圧 (-100V ~ +1000V) の範囲で動作します。バイポーラ駆動により、通常のユニポーラ駆動よりも大きなストロークが得られ、電界ストレスが軽減され、信頼性と寿命が向上します。
ストローク: ストロークは、負荷の変動や温度上昇によって変化し、データーシートではバイポーラ動作とユニポーラ動作のストロークがそれぞれ表示されます。
ヒステリシスと精密位置決め: ストローク/電圧の関係にはヒステリシスがあり、印加電圧の上昇時と下降時でストロークが異なります。超精密位置決めでは、位置センサーを使用して現在の位置情報を精密に取得することが重要です。
予備負荷と最大負荷: 予備負荷はスタックに常時かけられる圧縮力であり、張力への耐性を高め、剛性を改善します。
発生力と阻止力: アクチュエーターが伸張することで負荷を押す力であり、最大発生力はストロークがゼロの時に達成されます。
共振: 共振周波数は、ピエゾアクチュエーターの基本的な軸方向の共振周波数を示し、アクチュエーターをシステムに組み込むと共振周波数が変化します。
ユニポーラのメリットは何ですか?
ユニポーラ駆動のメリットは、主にその単純さと安定性にあります。以下の点が挙げられます:
シンプルな駆動回路: ユニポーラ駆動は一方向の電圧のみを使用するため、駆動回路の設計がシンプルで、実装が容易になります。
安定した動作: 逆方向の電圧がないため、素子への電気的ストレスが軽減され、より安定した動作を提供します。
コスト効率: より単純な駆動メカニズムは、低コストでの製造と実装を可能にします。
これらの特性により、ユニポーラ駆動は多くのアプリケーションで選択されます。
バイポーラにも逆極性の電圧はあるのですか?
はい、バイポーラ駆動では逆極性の電圧が使用されます。バイポーラ駆動は、正および負の両方の電圧をピエゾ素子に印加することで動作します。この方式により、ピエゾアクチュエータはより大きなストロークを実現し、動的(ダイナミック)な動作モードでの電界ストレスの緩和が可能になります。逆極性の電圧の使用により、アクチュエータの信頼性と寿命が向上することが期待されます。
バイポーラ駆動は正の電圧と負の電圧では伸びと縮みが逆になるのですか?
はい、バイポーラ駆動では正の電圧と負の電圧でピエゾアクチュエータの伸びと縮みが逆になります。正の電圧を印加すると、アクチュエータは一方向に伸び、負の電圧を印加すると逆方向に縮みます。この特性により、バイポーラ駆動はより大きなストロークと改善された動的(ダイナミック)な応答を提供し、さまざまなアプリケーションでの使用が可能になります。
ユニポーラは正の電圧と負の電圧をかけた場合はどのような動作になりますか?
ユニポーラ駆動の場合、正の電圧をかけるとピエゾアクチュエータは伸びますが、負の電圧をかけることは一般的ではありません。ユニポーラ駆動では、通常ゼロボルト(無電圧状態)と正の最大電圧の間で動作します。負の電圧を印加すると、アクチュエータの性能に影響を与えたり、損傷のリスクがあるため、通常は避けられます。ユニポーラ駆動では、アクチュエータの動作範囲はゼロから最大ストロークまでとなります。
THK Precision
PIDゲイン調整やノッチフィルタの設定とはなんですか?
PIDゲイン調整とノッチフィルタの設定は、制御システムにおける重要な調整方法です:
PIDゲイン調整: PID制御は、比例(Proportional)、積分(Integral)、微分(Derivative)の3つの要素を使用してシステムの応答を調整します。ゲイン調整は、これらの要素の強さを適切に設定し、システムの安定性と性能を最適化するプロセスです。
ノッチフィルタの設定: ノッチフィルタは、特定の周波数範囲の信号を減衰させるフィルタです。この設定は、システムの共振周波数や不要な周波数成分を抑制するために使用され、制御システムの性能向上に寄与します。
https://www.thkprecision.co.jp/support/catalogs/