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ドイツだけがおいしい思いをしている状況を他の加盟国はみています。
一方でEUはドイツなしは考えられないのも事実です。

ドイツの経済力があるから、ユーロの存在価値を保持できているのです。
二律背反の状況なのです。

そんな中2016年6月、イギリスは国民投票を実施しEUから離脱することを決めました。
イギリスの決断は、EUはもちろん、世界に衝撃を与えました。

 

そもそもイギリスはEU離脱を問う国民投票を実施する必要はなかったのです。
なぜなら、EU統一市場には入ったものの、通貨に関してはイギリスは導入していません。

19世紀はイギリスポンドが世界の基軸通貨だった誇りと伝統を守るために、
イギリスはユーロを導入しないという条件でEUに加盟しました。

イギリスは安いユーロには興味を持っていません。
イギリスは金融の国だからです。

金融業者は、海外の資源やビジネスに投資して配当を得ます。
例えば、海外の油田に投資するときは、自国通貨が強い方が安く買う事ができます。

メーカーは通貨安、金融業は通貨高を歓迎するのは、世界の共通原則です。
イギリスはポンド高を維持した方が世界中の色んな資産に投資ができるのです。

 

移民問題に関してもイギリスはシェンゲン協定を締結していないので、
自由に移民が入ってくることはありません。

ただし、イギリスは旧植民地の国々から過去にたくさんの移民を受け入れています。
ロンドンに行けば、インド系やアフリカ系の人であふれています。

これ以上、新しい移民を受け入れられないくらい飽和状態なのです。

つまりイギリスはユーロ安でも移民問題でも、大きなデメリットを被っているわけではありませんでした。
少なくとも国民投票を実施した時点では、EUから離脱するという強硬策をとるメリットなどなかったのです。

 

なぜキャメロンは国民投票を実施したのか?

それは、当時のイギリスのキャメロン政権に対して、EU側(実質的にドイツ)が
「イギリスはもっと責任を果たすべきだ」とプレッシャーをかけていたからです。

 

「EUのいいとこ取りばかりするな。もっと移民を受け入れて、EU予算の分担金ももっと出すべきだ」
とメルケルに、ねちねちといわれていました。

実際EUに入っていれば、イギリス製品の関税はゼロになりますから、
イギリスの製造業は巨大なヨーロッパ市場に自由にアクセスできます。

これは大きなメリットです。

 

EUからの要求に業を煮やしたキャメロン政権は国民投票を実施たのです。
メルケルのいいなりにはならないという意思を示す道具として国民投票を使ったのです。

このときキャンセルは高をくくっていました。「国民投票を実施しても、EU離脱派は4割くらいだろう」と。
ところが、ふたを開けてみたらEU離脱派が過半数を(約52%)をとってしまった。

 

イギリスの経済の低迷や反移民の世論が高まっていたことで、もう我慢できないといった国民が多かったのでしょう。

 

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