電気なしでは生きていけないほどにいまの時代は電気が溢れている。
電気暖房器具は電気エネルギーを熱エネルギーに変換して使っているし、照明器具は電気エネルギーを光エネルギーに変換している。電気エネルギーを使っていろんなエネルギーを得ている。
電気は他のエネルギーと違って、電線さえあればどこにでも送ることができるし、電池として蓄えておくこともできる。
生活のために欠かせない電気だが、知らないことも多い。目に見えない電気の正体を探って行きましょう。
原子を構成する素粒子の内、中性子は電荷がなく、陽子はプラスの電荷、電子はマイナスの電荷だ。電気の正体はこれらの電荷だ。
例えば髪の毛を下敷きで擦ると、髪の毛が下敷きに吸い付くようになる。これは擦ると言う刺激によって髪の毛の電子が自由電子となって飛び出して下敷きに移動したためだ。
自由電子が飛び出した髪の毛はプラスに帯電し、自由電子が移動してきた下敷きはマイナスに帯電する。すると双方向の電荷にクーロン力が働いて、互いに引き合う。
乾燥した季節にドアノブにさわってビリっと感じるのは、衣類の摩擦によって帯電した自由電子が移動するからだ。
落雷も同様の原理で、雷雲の中を水や氷が衝突しあって静電気が発生する。これによって上層部はプラスに帯電し、下層部はマイナスに帯電する。
この、下層部のマイナス電荷が非常に大きくなると、地表の物体に静電誘導を引き起こし地表がプラスに帯電する。
雷雲と地表の電位差が大きくなると、本来は絶縁体である空気の絶縁を破って、雲のマイナスの電荷が空気中を伝わって地表へ流れる。
これが落雷だ。
空気は電気抵抗が大きいため発熱が起こり、それが発光して稲妻となる。また、発熱によって周囲の空気が一気に膨張することで雷鳴を引き起こす。
気体を数万℃以上の高温にすると、原子同士の衝突により、電離が起きプラスイオンと電子が自由に飛び回っている気体になる。これがプラズマだ。プラズマは電気を流す性質を持っている。
プラズマディスプレはプラズマを利用した電気機器だ。
電気化学
電気と化学の関係はボルタの電池から始まった。ボルタ電池はイタリアの化学者ボルタが発明したもので、現在もその原理が使われている。
ボルタ電池は希硫酸に銅板と亜鉛板を入れたものだ。亜鉛板から亜鉛イオンが電離し残した自由電子を利用して電流を流す。
電池はこのようにイオン化傾向の違いを利用している。現在の電池の多くは電極となる金属と電解液の組み合わせで実現されている。
現在電池として沢山の組み合わせのものがある。
主な電池の種類は、マンガン電池、アルカリ電池、酸化銀電池、空気電池、リチウム電池、鉛蓄電池、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、燃料電池、太陽電池、熱起電力電池などがある。
ちなみにTesla車ではリチウムイオン電池が使われており、
それを作っているのがパナソニックです。
リチウムイオン電池は機器の多様な要求にマッチする電池です。
ノートパソコンやスマートフォンなどに広く使用されています。
また、EV(電気自動車)、携帯電話基地局バックアップや太陽電池と連携した蓄電システムなどの動力、産業用途にも利用されています。
リチウムイオン電池は、正極には高電圧でサイクル特性に優れたコバルト酸リチウム、負極には結晶性の高い特殊カーボンを
用い、電解液は特殊カーボンに最適な有機溶媒を採用しています。
リチウムイオン電池の反応原理は、充電時には正極コバルト酸リチウム中のリチウムがイオンとなり、負極の層と層の間に移動
します。放電時にはイオンは正極に移動し、元の化合物となります。
詳しくはパナソニックホームページへ
https://industrial.panasonic.com/jp/products/batteries/secondary-batteries/lithium-ion
ちなみに、Tesla は少し前に Maxwell Technologies という会社を買収しましたが、ここは “dry electrode” というリチウムイオン電池の製造工程を大幅に簡略化する技術を持
磁気と電気
電気と磁気は密接な関係がある。
電気を理解する上で磁気は非常に重要な知識だ。
磁石に引きつけられる金属は鉄、コバルト、ニッケルの3種類だけだ。磁石に引き付けられる現象は静電誘導に似ており電気と性質が近いものがある。
電気は陽子や電子の電荷だが、磁気は原子核のスピンが磁力を生み出している。電子の回転軸の両端がS極とN極になる。通常は逆向きにスピンする電子がペアになっていて磁力が打ち消されている。
磁石だけが磁界を作るのではない。電気も磁界をつくる。
磁気を利用する電気装置というとモーターや発電機、マイク、スピーカーなどがある。音を電気信号に変えるマイクは、空気の振動である音で振動板が動くことにより誘導起電力が発生し、空気の振動に応じた誘導電流が流れる。
これが音の電気信号になる。
半導体
半導体とは導体と絶縁体の両方の性質を持つ物質のこと。代表的な半導体であるシリコンは温度が低い時は自由電子しか存在しないため絶縁体だが、温度が高くなると原子から自由電子が飛び出して導体になる。
温度などの変化によって性質が変わる半導体をそのまま利用するのは難しい。そのため開発されたのが不純物半導体だ。
不純物半導体はN型半導体とP型半導体がある。シリコンの場合、最外殻にある価電子は4個だが、このシリコンに価電子が5個の物質を加えるとN型半導体になる。
最外殻で余った1個の電子が自由電子となり電荷の運び手となる。
一方でシリコンにホウ素やイリジウム等の価電子が3個の物質を加えるとP型半導体になる。最外殻にできた電子の不足分が電子を受け入れる隙間となり電荷の運び手として機能する。
半導体を使った素子の中で最もシンプルなのがダイオードだ。ダイオードとは2つの端子を備えた半導体素子で、一般的にP型半導体とN型半導体が接合されている。
ダイオードには1方向にのみ電流を流し、逆方向には流さない性質がある。これを整流作用といい、交流を直流に変換する整流回路などに使用される。
増幅作用またはスイッチング作用などのある半導体素子をトランジスタという。
トランジスタには接合型と電界効果トランジスタがある。接合型トランジスタはダイオードと同じようにP型とN型半導体を接合して作られる。
薄いP型半導体をN型半導体で挟み込んだものを、NPN型トランジスタといいます。両側の半導体の電極はエミッタ、コレクタといい挟まれた半導体の電極をベースと呼びます。
トランジスタもダイオードと同じように電流が流せる方向が決まっており、ベースからはコレクタへもエミッタへも電流が流せますが、コレクタ、エミッタ間はどちらも流せません。
ところが、べーすからエミッタへ電流を流しておき、その状態でコレクタとエミッタの間にベースにかけている電圧よりも高い電圧をかけるとコレクタからエミッタヘ電流を流すことができます。
といったことを利用して、トランジスタは増幅作用やスイッチング作用を発揮することができるのです。