ソレキア株式会社の企業概要と投資評価
企業概要
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社名 – ソレキア株式会社(英語名:Solekia Limited)。1958年9月19日創立。本社は東京都大田区西蒲田 8-16‑6 にあるsolekia.com。2025年現在の資本金は約22億9,300万円で、東京証券取引所スタンダード市場に上場しているsolekia.com。
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事業内容 – ITサービスインテグレータとして、顧客の経営課題や業務プロセスの課題を理解し、企画・システム設計から運用・保守までを提供するsolekia.com。主要な事業セグメントは以下の通り:
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テクノロジー・プロダクツ事業 – ASIC設計のほか、半導体・コンポーネント製品や組み込み機器、モニター、ストレージ機器の販売solekia.com。英語版では「Technology Products Business Sector」と呼ばれ、国内外で高付加価値製品とサービスを提供しているsolekia.com。
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ITソリューション事業 – 官公庁や製造業、流通、農協、金融、医療など幅広い業種向けにERP、BCP(事業継続計画)、環境・省エネ関連などのサービスをコーディネートし独自のソリューションを展開solekia.comsolekia.com。
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システム・ソリューション事業 – ソフトウェア開発やシステムインテグレーション、ネットワークソリューションを提供し、コンサルティングから構築・運用・保守まで一貫して対応しているsolekia.comsolekia.com。
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インフラサービス事業 – 首都圏・北関東・信越・関西地区のサービスセンターを基点に、ITインフラ設計・構築、システム監視、ヘルプデスク、BCP策定、ディザスタリカバリーなどを支援しているsolekia.comsolekia.com。
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従業員数 – 2025年3月末時点で727人(連結)solekia.comsolekia.com。
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売上高・規模 – 2025年3月期の連結売上高は280億2,517万円solekia.com。英語版サイトでも同期間の売上高が280億25百万円(¥28,025 million)と記されているsolekia.com。
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取引先・特徴 – 半導体販売や富士通関連のICTソリューションなどBtoB事業が中心で、富士通グループとの取引が多いと言われる。特定業界の顧客向けにERPや省エネソリューションなどを提供するため、売り上げが景気や設備投資動向に左右されやすい。
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認証取得 – 個人情報保護マネジメント、ISO 14001環境マネジメント、ISO 9001品質マネジメント、ISO/IEC 27001情報セキュリティなど多数の認証を取得しているsolekia.comsolekia.com。
最近の業績と財務指標
2021~2025年の業績推移(連結)
| 決算期(3月期) | 売上高 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 当期純利益 (百万円) | 1株当たり当期純利益 (円) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021年3月期 | 22,112 | 1,274 | 803 | 929.61 | COVID‑19の影響下でも黒字を維持solekia.comsolekia.comsolekia.com |
| 2022年3月期 | 22,701 | 747 | 464 | 537.26 | 半導体不足の影響などで利益が減少solekia.comsolekia.comsolekia.com |
| 2023年3月期 | 23,771 | 1,028 | 699 | 809.33 | 利益が回復solekia.comsolekia.comsolekia.com |
| 2024年3月期 | 25,178 | 1,655 | 1,045 | 1,210.08 | 売上高と利益が大きく伸長solekia.comsolekia.comsolekia.com |
| 2025年3月期 | 28,025 | 1,744 | 1,080 | 1,250.81 | 売上高が前年同期比約11%増となり過去最高を更新solekia.comsolekia.comsolekia.com |
総資産と純資産の推移 – 総資産は2021年3月期17,043百万円から2025年3月期22,275百万円に増加し、純資産も7,985百万円から11,110百万円に増加したsolekia.com。自己資本比率は約50%で財務基盤が安定しているtdnet-pdf.kabutan.jp。
2026年3月期第1四半期決算(2025年4月〜6月)
ソレキアの最新決算(2026年3月期第1四半期連結決算短信)によると、前年同期比で増収増益となったtdnet-pdf.kabutan.jp。
| 指標 | 2026年3月期第1四半期 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,342百万円 | 6,183百万円 | +2.6%tdnet-pdf.kabutan.jp |
| 営業利益 | 190百万円 | 130百万円 | +46.8%tdnet-pdf.kabutan.jp |
| 経常利益 | 186百万円 | 150百万円 | +24.3%tdnet-pdf.kabutan.jp |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 129百万円 | 102百万円 | +26.5%tdnet-pdf.kabutan.jp |
| 1株当たり四半期純利益 | 150.35円 | 118.81円 | +26.6%tdnet-pdf.kabutan.jp |
| 総資産 | 21,995百万円 | 22,275百万円(2025年3月期末) | 変動小 |
| 純資産 | 11,224百万円 | 11,110百万円 | 自己資本比率51.0%→49.9%tdnet-pdf.kabutan.jp |
会社側の通期予想(2025年4月1日~2026年3月31日)は、売上高28,400百万円(前期比+1.3%)、営業利益1,540百万円(▲10.8%)、経常利益1,550百万円(▲11.1%)、当期純利益970百万円(▲10.2%)、1株当たり利益1,122.61円tdnet-pdf.kabutan.jp。売上高は増加を見込むが、利益は減少する予想である。
株式指標(2025年9月24日現在)
IR BANKの株式情報ページによると、2025年9月24日時点の株価・指標は次の通りであるirbank.net。
| 指標 | 数値 | コメント |
|---|---|---|
| 株価(終値) | 8,210円irbank.net | 発行済株式数865,301株に対する時価総額は約71億円irbank.net。 |
| PER(実績) | 6.56倍irbank.net | 2025年3月期のEPS1,250.89円に基づく。割安感が強い。 |
| PER(予想) | 7.31倍irbank.netirbank.net | 2026年3月期予想EPS1,122.72円irbank.netに基づく。 |
| PBR(実績) | 0.63倍irbank.netirbank.net | 1株あたり純資産(BPS)12,992.32円irbank.netに対し株価が大幅に割り引かれている。 |
| 配当利回り(予想) | 0.61%(50円/株)irbank.net | 2026年3月期の配当予想は期末50円と中間50円の計100円と示されたが、株主還元方針は保守的。2025年3月期末は特別配15円を含む65円tdnet-pdf.kabutan.jp。 |
| ROE(実績/予想) | 9.92% / 8.64%irbank.net | 資本効率は10%前後で中堅IT企業としてはまずまず。 |
| 自己資本比率 | 51.03%irbank.net | 財務体質は安定。 |
その他の情報
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株主構成と流動性 – 過去のTOB(公開買付け)により、現在は工作機械メーカー「フリージア・マクロス」が持分法適用会社として筆頭株主となり、持株比率は公開情報によると50%超に達している。富士通(株)が旧大株主として一定の株式を保有しているが、実質的にはフリージア・マクロスによる支配が強いとされる。株式の発行済株式数が約86万株と少なく、出来高は1日あたり1,000~2,000株程度irbank.netで流動性が低い。
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投資単位引下げ – 2025年6月30日付で投資単位(売買単位)引き下げを検討する旨の開示があり、将来的に100株単位から変更される可能性がある。投資しやすくなる一方、株価の変動幅が広がる場合もある。
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事業環境 – ITソリューション需要は堅調だが、ハードウェア販売は半導体市況や為替の影響を受けやすく、競争が激しい。ソレキアの売上高は増加傾向にあるものの、利益率は高くなく、2026年3月期は減益予想となっているtdnet-pdf.kabutan.jp。
投資対象としての評価
ポジティブ要因
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安定した売上成長と財務体質 – 2021年以降連続増収で、自己資本比率は約50%と健全である。2026年3月期第1四半期も増収増益となり、好調を維持しているtdnet-pdf.kabutan.jp。
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低バリュエーション – PBR 0.63倍、PER(実績)6.56倍と指標面で割安感が強いirbank.netirbank.net。BPSが約1万3千円で株価8千円台のため、理論解散価値より大幅に低い価格で取引されている。ROEが約10%と資本効率も一定水準にあるirbank.net。
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安定配当 – 2025年3月期の期末配当は1株65円(うち特別配当15円)であり、2026年3月期は期末50円・中間50円の年間100円を予定しているtdnet-pdf.kabutan.jp。利回りは0.6%程度と高くないが安定的である。
ネガティブ要因
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利益の頭打ちと減益予想 – 2026年3月期通期予想では営業利益・経常利益とも前年を下回る見通しでありtdnet-pdf.kabutan.jp、利益成長が鈍化している。ハードウェア販売の利益率低下や人件費増が影響している可能性がある。
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主要株主による支配と流動性リスク – フリージア・マクロスが過半数の株式を保有しており、株主総会での議決権を支配している。一般株主の持株比率が低く、出来高が少ないため、株価が急変動しやすく売買が難しい。irbank.netで出来高は1,000株程度にとどまり、上場株式としては流動性が非常に低い。
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事業の集中と競争 – 主力の半導体・電子部品販売は大手メーカーとの取引が中心で、新規性が乏しい。システム・ソリューション事業も富士通グループへの依存度が高く、独自製品が少ない。競合他社との価格競争や顧客企業の設備投資削減が収益に影響しやすい。
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配当利回りの低さ – 配当利回りは予想値で0.6%前後と、株式投資としてはやや低水準irbank.net。将来の増配余地はあるものの、現状ではインカムゲインの魅力は限定的。
総合判断
ソレキアは、ITソリューションや半導体販売を手がける老舗企業で、近年売上を拡大し財務体質も安定しています。株式指標面ではPER6~7倍、PBR0.6倍と市場平均より大幅に割安です。財務基盤の堅さと低バリュエーションに注目したバリュー投資家にとって魅力的な銘柄と言えます。
一方で、筆頭株主が持ち株の過半を保有しており流動性が非常に低く、経営方針や資本政策が支配株主次第というリスクがあります。また、2026年3月期は減益予想であり、事業環境も成熟市場に属しているため高成長は期待しにくい。配当利回りも1%弱と低めで、インカムゲインの魅力は限定的です。
投資判断としては、長期的に安定した財務と資産価値に着目するバリュー投資の一環として少額を検討する価値はあるものの、流動性リスクや支配株主の存在、成長性の低さを踏まえた慎重な検討が必要です。短期的な値上がりを狙う投資には向かず、株価が純資産価値に接近した段階での利益確定を念頭に置くことが望ましいでしょう。
今後の予想ネットキャッシュ比率はどのようになっていきますか ネットキャッシュとは「流動資産+投資有価証券×70%-負債」であり、ネットキャッシュ比率はネットキャッシュを時価総額で割った数値です
ネットキャッシュ比率(あなたの定義:「流動資産 + 投資有価証券 × 0.70 - 負債」/時価総額)を将来予想するには、以下の要素を仮定する必要があります:- 流動資産および投資有価証券の将来の増減ペース
- 負債(短期・長期を含む)の増減傾向
- 時価総額の推移(株価 × 発行株数の動向)
現状の把握(参考値)
まず、現時点での貸借対照表や株価情報から、近似的なネットキャッシュ比率の見積もりをやってみます。財務情報(参考値)
いくつかの公開データを参照すると:- 総資産・純資産・負債情報などが バフェット・コード の貸借対照表で確認可能です。 (バフェットコード)
- また 松井証券 が公表している時価総額・純資産・有利子負債のデータ: 時価総額:74億円(=7,400百万円) (マツイ証券) 純資産:11,110百万円 (マツイ証券) 有利子負債:2,980百万円 (マツイ証券)
- 負債総額(有利子・無利子含む負債)は Strainer によると 6,838 ~ 7,538 百万円などのレンジ。 (Strainer)
仮のネットキャッシュ比率(概算)
以下、簡易モデルでの推定例:- 仮に流動資産 + 投資有価証券 × 0.7 が、純資産(11,110 百万円)に近いと仮定
- 負債総額を 6,838 百万円(負債の上限的な値)と仮定
- 分子 ≒ 11,110 − 6,838 = 4,272 百万円
- 分母(時価総額) = 7,400 百万円
将来予想シナリオと感度分析
以下、複数シナリオを仮定して、ネットキャッシュ比率がどう変動しそうかを考えてみます。| シナリオ | 前提仮定 | ネットキャッシュ分子の変動 | 時価総額(株価成長含む)変動 | ネットキャッシュ比率の傾向 |
|---|---|---|---|---|
| ベースケース | 流動資産や有価証券、負債ともに緩やかに成長 | 分子は緩やか増加 | 株価・時価総額も緩やか成長 | 比率は大きく変動せず、50〜60 %近辺で安定 |
| 慎重ケース | 有利子負債を増やして設備投資、流動資産もやや圧迫 | 分子は横ばい~やや減少 | 株価成長が乏しく、時価総額横ばい | 比率は低下、例えば 30〜50 %程度まで下がる可能性あり |
| 成長ケース | キャッシュリッチ経営+余剰現金の活用(M&A・投資) | 分子は徐々に増加 | 株価が大きく拡大、時価総額も上昇 | 比率は維持またはやや低下(時価総額成長の方が大きい) |
| 株価過熱ケース | 株価が急拡大 | 分母が急拡大 | 分子が同程度成長 | 比率は低下(例えば 20〜40 %台まで落ちる可能性) |
主な不確実要因
- 流動資産・有価証券の運用方針:流動資産を現金・預金中心に保有するか、積極的に運用するかで変わる
- 投資・資本支出 (CapEx)/設備投資:これが重なるとキャッシュが減少する
- 借入・返済政策:有利子負債を積極的に調達するか、逆に返済を進めるか
- 株価変動:時価総額は株価変動に左右されるため、投資家評価や市場環境が重要
- 株式発行や自己株式取得:発行株式数が変動すれば時価総額も変化
結論的に予想される方向性
- 現状はネットキャッシュ比率はかなり高めである可能性が高い(50~60 %クラス)
- 経営が慎重にキャッシュを管理するなら、ネットキャッシュ比率は今後も高水準を維持できる余地がある
- ただし、成長投資や借入拡大、株価上昇が激しいケースでは、比率は低下方向に動く可能性が強い
- 特に、株価が大きく上昇すれば、分母の伸びが追いつかず比率が下がっていくシナリオが現実的





