水素の特性と危険性
水素は、燃焼可能濃度範囲が広く、着火しやすいという特性があります。
ただし、水素ガスは軽い上、拡散スピードが非常に速いという特性もあるため、仮に4%を超える水素が空気に混ざって燃える期待になったとしても、解放された空間では水素がすぐに上方へ拡散して水素濃度が下がり、引火の危険性は低下します。
また、水素は熱放射が小さいため、かりに水素が燃えたとしても、熱放射による被害や類焼は少なくなります。
総じて、水素と他の燃料と比較して、水素の危険性が特に高いというわけではありません。
ただ、燃料である以上、メタン、プロパン、ガソリン等と同様に、水素の取り扱いには注意が必要になります。
水素の特性を正しく理解し、適切な安全対策を行えば、他の燃料と同じように安全に使用することができます。
なお、日本の都市ガスは、天然ガスが使用されるようになる前の昭和20年代から40年代にかけて、水素と一酸化炭素の混合ガスが使われていました。
このような実績からしても、水素の安全性は既に実証されているとみることができます。
水素が燃焼・爆発する条件と安全対策
水素が燃焼・爆発するのは、密閉された空間において、水素が大量に漏れ出して水素と空気が燃焼範囲で混ざり合い、そこに火種が存在する、という条件が揃った場合に限られます。
水素を使用するに当たっての安全対策としては
①水素を漏らさない。
②漏れた場合には早期に検知し、拡大を防ぐ
③漏れた場合に水素を溜めない
④漏れた水素に着火させない
の4つがあげられます。
たとえば、水素が漏れた場合に溜めない工夫としては、建屋の上部に通気口を設け、漏れ出した水素をそこから排出する、といったことがあげられます。
安全のための規制
水素の安全などに関して適用される法律の規制としては、「高圧ガス保安法」が中心的な役割を担っています。
たとえば、高圧ガスである圧縮水素ガス、液化水素を充填・貯蔵するための貯槽・容器は、高圧ガス保安法によって分類され、技術上・保安上の基準が定められています。
高圧ガス保安法のなかにも、「消防法」や「建築基準法」などにより、水素の安全に関する規制が定められています。
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