Qualcomm to Acquire NUVIA: A CPU Magnitude Shift

Qualcomm が NUVIA という CPU デザインの会社を $1.4 billion で買収したという報道です。ウェブサイトを見ると、会社のミッションとして “Our mission is to reimagine silicon in a new way, and create computing platforms that redefine performance for the modern data center.” と書かれているので、本来はデータセンター向けの CPU を作る会社だったようです。

NUVIAの「Performance Delivered a New Way」というページには、消費電力あたりの性能で、ARMプロセッサがx86プロセッサよりもはるかに優れていることを示した上で、NUVIA の独自のCPUは、さらにその上をいくと宣言しています。

これが本当であれば、ARM を Nvidia に買収されそうな Qualcomm にとってはとても魅力的な企業のように見えます。いきなりモバイルデバイス向けに独自のCPUコアを使うことができるとは思いませんが、まずはデータセンター向けのチップとしてビジネスを立ち上げ、うまくツール関係が整備されれば、Chromebook や Android ケータイ市場を攻めることも視野にいれていると思います。

ちなみに、NUVIA は、元 Google、Apple、ARM、Broadcom、AMD などエンジニアから構成されており、それだけのタレントが一気に採用できるだけで、Qualcomm にとっては大きな収穫です。特に、CEOのGerard Williams III は、Apple でチップデザインのチーフ・アーキテクトをしてきた人であり、チップメーカーにとっては喉から手が出るほど欲しい人材です。

Gerard は、Apple で iPhone/iPad 向けのチップの設計をチーフ・アーキテクトとして担当していましたが、2019年の3月末に Apple を退社して(Apple loses engineer who oversaw iPhone, iPad processors)NUVIA を設立したのです。その後、Appleとの訴訟騒ぎもありましたが(Court allows Apple’s lawsuit against former iPhone chip designer)、2年も立たないうちに $1.4 billion での売却に成功したのです。

引用:週刊 Life is Beautiful 2021年3月2日号
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クアルコムに関してのあれこれ

Qualcomm の成長性に関して、一時は疑問を抱き、所有している株をすべて売却してしまいました。3G、4Gの時代は Qualcomm が世界の覇者でしたが、5G の時代になって、その地位を中国の Huawei に奪われつつあったからです。

しかし、トランプ政権時代に米中の緊張感が高まり、Huawei 排除が始まったことは、Qualcomm にとっては大いに追い風だと感じ、去年の7月に、再び Qualcomm の株を購入しました。

今年になって誕生したバイデン政権も、対中国に関しては、トランプ政権時代の流れを引き継ぐようなので、Huawei は西側の市場からは排除され続けると見て間違いはないと思います。

Qualcomm にとっても唯一の懸念は、Intel から通信チップビジネスを購入した Apple の動きです。Apple の最終目的は自社製通信チップの開発なので、それが実現すると、Qualcomm にとっては大きな売り上げ損失となります。「Apple が次の iPhone から自社製の通信チップに切り替えるらしい」という噂が広まっただけでも、Qualcomm の株は5%ぐらい下がると思うので、そこは覚悟しておく必要があります。

逆に大きな伸び代が期待出来るのは、パソコン向けの統合チップです。Apple のM1チップの性能を見て、パソコンメーカーは、M1チップに相当する性能を持つ統合チップを強く求めています。Intel や AMD がその要求に応えられるとは思えないので、Qualcomm にとっては絶好のチャンスです(ライバルは Nvidia です)。

とは言え、そのためには ARM 版 Windows がエンタープライズ市場で幅広く受け入れられる必要があるため、そこに Microsoft がどのくらい本腰を入れるかが、重要な鍵を握るので、そこにも注目しておく必要があります。