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2016年6月、イギリスは国民投票の結果、欧州連合(EU)からの離脱を決定しました。
投票結果は、離脱支持51.89%、残留支持48.11%という僅差でした。

保守党政権内も分裂し、ブレグジットに慎重だった女性首相テリーザ・メイは辞任に追い込まれ、
離脱積極派のボリス・ジョンソン首相が下院議会選挙で圧勝した結果、2020年1月末のブレグジットが確定したのです。

1952年にEUの前身であるECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)が誕生して以来、これまで加盟国が増える事はあっても、
一度として減ったことがないEUにとって今回は歴史的な転換点ということができます。

なぜ、イギリスはEU離脱を選択したのでしょうか。

このままEUは解体していくのでしょうか。

EUのキーワードとなるのは、今も昔も「ドイツ」です。
イギリスのEU離脱も、ドイツという国の存在が背景にあります。

ヨーロッパのど真ん中にいちするドイツは歴史的に見て、
ヨーロッパの暴れん坊といえます。

周辺国を圧倒する軍事力を有し、第一次世界大戦、第二次世界大戦では結果的に敗戦国になったものの、
イギリス、フランス、ロシアといった強国を相手に大暴れし、周辺国を恐怖に陥れました。

言葉は悪いですが、ドイツはヨーロッパ内で札付きのワルとして恐れられていたのです。

しかも軍事面だけでなく、経済面も優秀でした。
産業革命でイギリスに遅れをとったドイツは工業後進国であったにもかかわらず
勤勉さや秩序を尊重する国民性からも工業国としても急速に発展を遂げ、軍事力を増強する事に成功しました。

従って、ヨーロッパの国々にとっては、「軍事力でも経済力でも優秀なドイツを、どうやって封じ込めるか」
が常に一番のテーマだったのです。

第二次世界大戦の敗北でヒトラーが政権が崩壊した後、ヨーロッパの暴れん坊のドイツが二度とよみがえる事がないよう、
さまざまな手をうちました。
その一つが、ドイツを二つの国に分ける事。敗戦後ソ連とアメリカ、イギリス、フランスの戦勝4か国によって占領されました。
ドイツを自由にさせず、しっかり手綱を取っておく事をしたのです。

 

フランスがドイツを恐れるのはなぜ?

ドイツを最も恐れていたのは、隣国フランスです。
なぜなら、フランスは3度ドイツに侵略された歴史があるからです。

そんな屈辱の歴史をもつフランスが常に考えてきたのは、二度とドイツが攻めてこないようにすること。
第一次世界大戦後はドイツを痛めつけることによって弱体化させようと試みました。

ドイツに全植民地と海外の一切の権利を放棄させ、巨額の賠償金を支払わせることに決めました。
さらにはビスマルク時代にドイツが獲得したアルザス・ロレーヌ地方をフランスに返還させました。

しかし、戦後、大きな代償を払う事になったドイツの国民の不満は募っていきます。
その結果、世界恐慌の影響で失業を余儀なくされた人々の指示を集めたヒトラー率いるナチスが躍進。

ヨーロッパは第二次世界大戦の渦に巻き込まれることになります。

ドイツを痛めつけすぎた事が、ナチスを生んだ教訓を得たフランスは、
第二次世界大戦後、今度はドイツを叩きのめすのではなく、逆にドイツ国民がなんとか生活できるような配慮をしたのです。

具体的には、フランスはドイツに賠償金を求めませんでした。
そして、ドイツとフランスの係争地だったアルザス・ロレーヌ地方の地下資源を共同利用することにしました。
これをきっかけにドイツとフランスの和解が進みます。

1952年、ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)が発足しました。
それから1967年にEUの前身であるECに発展し、フランス、西ドイツ、ベルギー、イタリア、ルクセンブルク、オランダの6か国が
経済的な共同体をつくり、関税を撤廃。国境線をなくし、人、モノ、資本が自由に移動できる市場を成し遂げたのです。

EUはドイツを恐れていたフランスなどの周辺国による、ドイツ封じ込め対策に端を発しているのです。

 

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